空前の売り手市場と運送業の人手不足

｜２．人手不足が深刻な運送業界

人手不足の背景

増収が続く一方で、運送業界全体では「人手不足」が深刻化しています。日本商工会議所が行った調査によると、運輸業の74.1%の企業が「人手不足」を感じていると回答しています。この背景には、少子高齢化により労働人口が減少していることが大きな要因として挙げられます。また、運送業の仕事は肉体的にハードであり、長時間労働が求められることが多いため、若い世代から敬遠されがちです。

さらに、運送業界の賃金が他業種と比較して低いことも、人手不足の一因となっています。これに加えて、労働条件の改善が進んでいない企業が多いことも、若い求職者が運送業界を選ばない理由となっています。

労働環境の改善

人手不足を解消するためには、労働環境の改善が必要です。具体的には、労働時間の短縮や、給与の引き上げ、福利厚生の充実などが挙げられます。また、働きやすい職場環境を整えることで、既存の従業員の定着率を高めることも重要です。例えば、柔軟な勤務時間制度や、健康管理のためのサポート体制を導入することで、従業員の満足度を向上させることができます。

｜３．ホームページが運送業の人材獲得に役立つ理由

企業の認知度の向上

ホームページを開設することで、企業の認知度を大幅に向上させることができます。求人サイトや求人情報誌だけでなく、求職者が直接ホームページを訪れることで、企業の詳細を知る機会が増えます。特に、運送業界は他の業種と比べて企業の知名度が低いことが多いため、ホームページを通じて企業の存在を広く知らしめることが重要です。

求職者からの信頼感獲得

ホームページがあることで、求職者に企業の実態を透明に伝えることができます。会社の設立年や規模、働いている人たちの様子などを掲載することで、信頼感を高めることができます。特に、求職者は企業の透明性や安定性を重視する傾向が強いため、詳細な情報を提供することで信頼を獲得することができます。

情報量に制限がない

求人サイトや求人情報誌では情報量に制限がありますが、自社ホームページでは制限なく情報を掲載することができます。求職者に伝えたい情報を詳細にアピールすることが可能です。例えば、業務内容や福利厚生、キャリアアップの機会など、求職者が知りたい情報を十分に提供することができます。

コストや労力を抑えて人材を募集できる

ホームページでの求人は、広告費用を大幅に抑えることができます。一度作成した求人ページを自由に変更や追加ができるため、コストパフォーマンスが非常に高いです。求人サイトや求人情報誌では、掲載期間に応じて広告費用が発生しますが、自社ホームページでは半永久的に情報を提供することができます。

｜４．運送業ホームページで人材獲得するためのポイント

働く姿をイメージさせる工夫を

ホームページを訪れた求職者に「働いている姿」を具体的にイメージしてもらうことが大切です。業務の流れややりがい、キャリアアップの例などを詳しく記載しましょう。特に、実際に働いている社員のインタビューや、業務中の写真を掲載することで、求職者にリアルな職場の雰囲気を伝えることができます。

女性や若年層へのPRを

若年層や女性へのPRも重要です。若い社員や女性社員のインタビューを掲載し、「若い世代や女性が活躍できる職場」であることをアピールしましょう。運送業界では、他の業界と比べて女性の就業割合が低いため、女性が働きやすい環境を整えることが求められています。例えば、女性専用の休憩室や、更衣室の設置など、女性が安心して働ける職場環境をアピールすることが重要です。

画像の掲載もポイント

文章だけでは伝わりにくい職場の雰囲気や業務中の様子を画像や動画で掲載することで、より具体的に伝えることができます。特に、動画は文章や画像よりも情報量が多く、よりリアルな雰囲気を伝えることができます。例えば、実際の配送風景や、社員の一日の流れを動画で紹介することで、求職者に具体的なイメージを持ってもらうことができます。

社員の声を取り入れる

実際に働いている社員の声を掲載することで、求職者にリアルな職場の雰囲気を伝えることができます。社員のインタビューや座談会の様子を記事にすることで、企業の魅力をアピールできます。特に、長年働いているベテラン社員や、新入社員の声を掲載することで、さまざまな視点から企業の魅力を伝えることができます。

SNSとの連携

ホームページとSNSを連携させることで、より多くの求職者にリーチすることができます。SNSを活用して求人情報や企業の最新ニュースを発信することで、求職者の興味を引きつけることができます。特に、SNSは若年層の求職者に対して強い影響力を持つため、効果的なツールとなります。

｜番外編：運送業の2024問題とその影響

2024年に予定されている「働き方改革関連法」の改正に伴い、運送業界では新たな課題が生まれています。
この法律改正により、ドライバーの労働時間に厳しい制限が設けられることとなり、特に中小企業にとっては大きな影響を受けることが予想されます。
いわゆる「2024問題」として知られるこの問題に対処するため、運送業各社は新たな採用戦略を立て、業界の”勝ち組”となるための対策を講じる必要があります。

2024問題の具体的な影響

労働時間の短縮に伴い、新たにドライバーを雇用する必要が生じ、コストの増加が避けられません。

労働時間の規制強化

2024年以降、ドライバーの年間労働時間が大幅に制限され、特に長距離運転手に対する影響が大きくなります。

法定労働時間を超えることができる時間外労働の上限も厳しくなり、従来の働き方では対応が難しくなります。

人手不足の深刻化

労働時間の制限により、同じ量の仕事をこなすためにより多くのドライバーが必要となりますが、すでに人手不足の状態であるため、さらなる人材確保が課題となります。

コストの増加

労働時間の短縮に伴い、新たにドライバーを雇用する必要が生じ、コストの増加が避けられません。

｜番外編：勝ち組になるための企業としての採用戦略

1. 柔軟な働き方の提案

労働時間の制限が厳しくなる中で、ドライバーに対して柔軟な働き方を提案することが重要です。例えば、以下のような取り組みが考えられます。

• シフト制の導入
  • 早朝や深夜のシフトを設けることで、法定労働時間内で効率的に業務を分担。
  • 短時間労働を希望する人材を活用し、パートタイムドライバーを増やす。
• フレックスタイム制度の採用
  • ドライバーのライフスタイルに合わせた勤務時間の調整を行い、働きやすい環境を提供。

2. テクノロジーの活用

最新の技術を活用することで、労働効率を向上させ、人手不足の解消に貢献することができます。

• 自動運転技術の導入
  • 物流の一部を自動運転車両に任せることで、ドライバーの負担を軽減。
  • ドライバーの業務効率を向上させ、労働時間の短縮を図る。
• 運行管理システムの導入
  • GPSやAIを活用した運行管理システムを導入し、効率的な配車計画を実現。
  • ドライバーの稼働時間を最適化し、無駄な待機時間を削減。

3. 魅力的な福利厚生の提供

ドライバーにとって魅力的な福利厚生を提供することで、他社との差別化を図り、優秀な人材を確保します。

• 給与の見直し
  • 競争力のある給与体系を整え、他業界からもドライバーを引きつける。
  • 成績に応じたインセンティブ制度を導入し、モチベーションを高める。
• 充実した休暇制度
  • ドライバーが安心して休暇を取れるように、有給休暇やリフレッシュ休暇の導入。
  • 家族との時間を大切にできるような制度を整え、働きやすい環境を提供。

4. 多様な人材の採用

従来の採用枠にとらわれず、多様な人材を積極的に採用することで、人手不足を解消します。

• 女性ドライバーの採用
  • 女性が働きやすい環境を整え、女性ドライバーの割合を増やす。
  • 女性専用の休憩室や更衣室の設置、育児休暇制度の充実。
• シニア世代の活用
  • 退職後も働きたいシニア世代を積極的に採用し、経験豊富な人材を活用。
  • 軽作業や短時間勤務など、シニアに適した業務を提供。

5. 教育と研修の強化

新しい技術や法規制に対応できるように、ドライバーに対する教育と研修を強化します。

管理職や専門職へのキャリアパスを明確にし、成長の機会を提供。

安全運転講習の実施

ドライバーの安全意識を高めるための定期的な講習を実施。

新たな法規制や技術に対応するための研修を行い、知識とスキルを向上。

キャリアパスの提供

ドライバーとしてのキャリアアップを支援し、長期的な雇用を促進。
管理職や専門職へのキャリアパスを明確にし、成長の機会を提供。

　（まとめ）運送業の人手不足解消はコレ！編

2024問題に直面している運送業界において、各運送会社が”勝ち組”となるためには、柔軟な働き方の提案、テクノロジーの活用、魅力的な福利厚生の提供、多様な人材の採用、そして教育と研修の強化が必要です。
これらの戦略を実行することで、人手不足を解消し、競争力を高めることができます。
運送業界の未来を見据えた積極的な取り組みが、企業の成功と成長を支える鍵となるでしょう。
逆に言うと、積極的な取り組みができない運送会社はどんどん採用難に追い込まれていく気がします。

各社しっかりと対策を練って、人手不足の解消をしていきましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。